美術散華保存会&散華美術館 スタッフブログ

散華の情報、当会の活動、運営している散華美術館、奈良のこと等つづっていきます。

【正倉院展】花籠(けこ)が出ていました

正倉院展も終わり、秋も深まり、気温としては冬の足音も…

毎年恒例で正倉院展に行って来ました。

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(オータムレイトチケットで、しおりが付いてきました)

今年は散華供養に使う花籠(けこ)が2点出ていました。
平たい浅めのものと深めのもの。
平たいカゴは散華を撒くときに入れる用、
墨書から東大寺大仏開眼供養会に使用されたと推測されるものだそうです。
深めのカゴは散華に使う花を洗うためのものと解説にありました。
昔は生花を使っていたことを偲ばせます。

産経新聞正倉院展紹介記事に画像があったのでご覧ください↓

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保存会にも骨董の花籠はありますが、金属製で組紐が付いていて割と華やかな見た目です。
一方、宝物の花籠は、シンプルながら丁寧な作り。
東大寺らしい、と私は感じました。

次も散華に関わる宝物が出てくるのを楽しみに、また来年!

【イベントのお知らせ】11/18(土)写仏散華づくり@奈良国立博物館

秋も深まり、正倉院も「開封の儀」が執り行われるといよいよ…といった感じです。

さて、今回は正倉院展終わった時期の奈良国立博物館でのイベントのお知らせです!

今年も「写仏散華づくり」と題して、
地下回廊(葉風泰夢さん隣)で開催。

無料です!!

仝畫10時~12時
午後13時半~15時半
この二つの時間帯で区切って、当日随時受付となります。

なお、受付開始、終了時間がありますので下記のHPで詳細をご確認下さい<(_ _)>

昨年も沢山の方に体験していただきました!
紅葉も始まりつつあるかもしれませんね。
散策のついでに、または歩き疲れた方も…
ぜひお誘い合わせてご参加ください★


http://www.narahaku.go.jp/events/2017event/2017triangleworkshop.html

【明日まで!】奈良国立博物館「源信展」に行って地獄と極楽を堪能

もう会期も明日までとなった、奈良国立博物館の「源信展」。
強烈な地獄のイメージと、その対比でもの凄く涼しげに有り難く見える極楽をたっぷりと見られます!

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普通の人は源信って誰だ?となるし、
知ってる人でも教科書に出てきたね、という感じでしょうか?
『往生要集』まで出たら凄いです。

源信が『往生要集』に記した地獄の様子とそこから救われるさまが
浄土信仰の高まりの中で広がったというのが、この展覧会では分かります。

★★★★★★

地獄では六道絵というのが、鮮烈な印象を与えます。
燃え上がる炎、コワモテの地獄の獄卒、酷い目にあっている亡者たち、細部までじっと観る価値あり。
展示の最後でも大きくパネルにしていますから、そこでもじっくり見られるのでご安心を。

あと、東大寺塔頭・知足院さんのお地蔵様が出展されていて、初めて拝見しました。
厨子の扉絵も残っていて、凄く良かったです。
「奈良きたまちにこんな名品が!」と感激しました。

★★★★★★

極楽では、亡くなる人の為の儀式について、それに伴う来迎図の展示が多くありました。
阿弥陀如来観音菩薩諸々、雲に乗ってお迎えに来てくれますが、
豪華な感じで、雲が流れて急いで来た感じが出てると、ありがたさもアップします!

久々に見れた平等院の雲中菩薩も相変わらずの可愛らしさ。
楽器をもった菩薩たちが結構かわいいのが、個人的には来迎図の好きなところです。

チラシにも出ていた阿弥陀来迎図。
古いものなので、仏画にありがちなうっすら具合かと思っていたのですが、
実物はキレイ!思っている以上に!

琵琶をもってる菩薩だけ歯を見せて笑っているように見えて、それだけ異質に感じました。
何か意味があるのかもしれません。(又はないかも、ですが)

★★★★★★

地獄と極楽、真反対の世界ですが、
そのギャップを楽しむも良し、
これを見ていた当時の人々に思いをはせるも良し。
地獄に関しては、現代人にはエンターテインメント要素が強いので、思いっ切り楽しんでも良いかと思います。

臨時休館のお知らせ

誠に勝手ながら、今週末7月8日(土)・9日(日)は臨時休館いたします。

申し訳ございませんが、ご了承くださいますようよろしくお願い申し上げます。

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明日から奈良きたまちでは「きたまちweek」が始まります!
散華美術館は参加していませんが、
いろいろ催しも予定されているのでご参加くださいね♪

「きたまちweek」
http://kitamachiweek.com/

【おすすめ展覧会探訪】奈良県立美術館「祈りの美~清水公照・平山郁夫・杉本健吉…」

3月、東大寺修ニ会本行が始まりました。
その期間中、「行っといたらお水取りも楽しめるよ~!」という展覧会が
奈良県立美術館で開催中です。

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表題にもあるお三方は言わずもがな、
奈良と縁の深い方々。
作品のボリュームは清水公照氏のものが多かったです。
公照氏のを熱心に見すぎて、時間足りなかったですから(^-^;

以下熱くなりすぎて長~い文章になりました…
時間のある方はお付き合いください…


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お三方のうち、保存会的には、
杉本健吉氏とは散華の繋がりで、
愛知の杉本健吉美術館での展覧会以来、
ものすごく親近感を感じています。

清水公照氏は奈良のあちこちで作品を
目にすることはありましたが、
実際の作品をまとまって見るのは初めてで
感激しました。

平山郁夫氏は薬師寺の壁画、散華や
その他展覧会で見てきましたが、
シルクロードの情景は
いつ見てもうっとりする画面でした。
奈良の風景も同じタッチで描かれると
幻想的に見えてきます。

いくらでも長々と書けそうなので、
面白かったポイントをいくつか紹介します。

清水公照杉本健吉の「お水取り」を
描いた作品は貴重な資料!見比べると面白い!

清水公照氏は東大寺別当までなった方、
練行衆として見て聞いたものを絵日記に残されています。
練行衆の営みは素朴な墨絵だったり、
本行の生のスピード感を切り取ったり、
見ていて飽きません。

一方の杉本健吉氏は、墨で即興的に
切り取ったスケッチを残しています。
東大寺塔頭に暮らし、
彼にとっては庭同然の東大寺
どこから描かれているか、
推理しながらの鑑賞も楽しいですよ。

ふたりの作品を見れば、
「お水取り」本行の雰囲気を知ることが出来ます。
歴史的なことは奈良国立博物館へ…

清水公照氏の言葉選びがステキ

文言の多くはお経や漢詩から作品に書かれています。
柔らかくて力強い、鮮やかな墨絵。
それに負けない書。
その源は、戦時中の中国で楷行草の書の基本を
学んだ経験にあるようです。

あんな字、本当に難しい…さすが「昭和の良寛
私も書けたら書きたいくらい。
その言葉選びも個人的な作品づくりに
活かせそうな気がします。

清水公照氏「大仏殿昭和大修理落慶奉告」に
東大寺の撒き散華を発見!

ちょうど大仏殿の昭和大修理時に別当だった公照氏。
落慶奉告の文章を書いた周囲に
法要の撒き散華を散らし貼っていました。
散華自体にも言葉を書いたりして。
とてもカラフルでオシャレな奉告書となっています。
こういうセンスも良いなあ!と感激しました。

杉本健吉氏の散華の色紙も3点出てます。

ちょっと数が少なくて残念でしたが、
後の散華の図案のもとと思われる
奈良のモチーフも散見されました。
軽いタッチのスケッチから、
墨で陰影を付けた立体的な作品まで、
十分楽しめます。

「えー、もっと散華を見たかった!」
そういう方にはミュージアムショップで売っている
杉本健吉 東大寺散華」のポストカードセットをオススメします!!
(宣伝(笑)今回よく売れているそうです)


最後に。
三者三様の作品がこの展覧会では見られます。
贅沢な展覧会です。
それはそれぞれの奈良への向き合い方の現れだと感じました。



会期中、無料ゾーンでは散見美術館のある
「奈良きたまち」の紹介ブースがあります。
加えて、週末を中心に「きたまちマーケット」や
連携講座「女性たちの祈りの美のおはなし」が
開催されますので、ぜひお立ち寄り下さい。
そのまま街歩き→二月堂コースもありですよ♪


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奈良県立美術館
「祈りの美~清水公照平山郁夫杉本健吉…」
開催中~3/15(水) 9:00~17:00(入館16:30まで)
休館日 月曜 ただし、3/6と3/13は開館
http://www.pref.nara.jp/11842.htm

【臨時休館のお知らせ】2/27~3/10休館いたします。

誠に勝手ながら、館長不在のため、
来週2/27(月)から3/10(金)まで
長期で臨時休館させていただきます。

そしてその翌週17日(金)から20日(月)まで
定休館日となります。

お水取り、春の連休と賑わいを増して、
良い季節になってきます。

来館の予定を立てていらした方には
大変申し訳ございませんが、
ご了承いただきますようお願い致します。