美術散華保存会&散華美術館 スタッフブログ

散華の情報、当会の活動、運営している散華美術館、奈良のこと等つづっていきます。

【おすすめ展覧会探訪】奈良県立美術館「祈りの美~清水公照・平山郁夫・杉本健吉…」

3月、東大寺修ニ会本行が始まりました。
その期間中、「行っといたらお水取りも楽しめるよ~!」という展覧会が
奈良県立美術館で開催中です。

イメージ 1


表題にもあるお三方は言わずもがな、
奈良と縁の深い方々。
作品のボリュームは清水公照氏のものが多かったです。
公照氏のを熱心に見すぎて、時間足りなかったですから(^-^;

以下熱くなりすぎて長~い文章になりました…
時間のある方はお付き合いください…


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お三方のうち、保存会的には、
杉本健吉氏とは散華の繋がりで、
愛知の杉本健吉美術館での展覧会以来、
ものすごく親近感を感じています。

清水公照氏は奈良のあちこちで作品を
目にすることはありましたが、
実際の作品をまとまって見るのは初めてで
感激しました。

平山郁夫氏は薬師寺の壁画、散華や
その他展覧会で見てきましたが、
シルクロードの情景は
いつ見てもうっとりする画面でした。
奈良の風景も同じタッチで描かれると
幻想的に見えてきます。

いくらでも長々と書けそうなので、
面白かったポイントをいくつか紹介します。

清水公照杉本健吉の「お水取り」を
描いた作品は貴重な資料!見比べると面白い!

清水公照氏は東大寺別当までなった方、
練行衆として見て聞いたものを絵日記に残されています。
練行衆の営みは素朴な墨絵だったり、
本行の生のスピード感を切り取ったり、
見ていて飽きません。

一方の杉本健吉氏は、墨で即興的に
切り取ったスケッチを残しています。
東大寺塔頭に暮らし、
彼にとっては庭同然の東大寺
どこから描かれているか、
推理しながらの鑑賞も楽しいですよ。

ふたりの作品を見れば、
「お水取り」本行の雰囲気を知ることが出来ます。
歴史的なことは奈良国立博物館へ…

清水公照氏の言葉選びがステキ

文言の多くはお経や漢詩から作品に書かれています。
柔らかくて力強い、鮮やかな墨絵。
それに負けない書。
その源は、戦時中の中国で楷行草の書の基本を
学んだ経験にあるようです。

あんな字、本当に難しい…さすが「昭和の良寛
私も書けたら書きたいくらい。
その言葉選びも個人的な作品づくりに
活かせそうな気がします。

清水公照氏「大仏殿昭和大修理落慶奉告」に
東大寺の撒き散華を発見!

ちょうど大仏殿の昭和大修理時に別当だった公照氏。
落慶奉告の文章を書いた周囲に
法要の撒き散華を散らし貼っていました。
散華自体にも言葉を書いたりして。
とてもカラフルでオシャレな奉告書となっています。
こういうセンスも良いなあ!と感激しました。

杉本健吉氏の散華の色紙も3点出てます。

ちょっと数が少なくて残念でしたが、
後の散華の図案のもとと思われる
奈良のモチーフも散見されました。
軽いタッチのスケッチから、
墨で陰影を付けた立体的な作品まで、
十分楽しめます。

「えー、もっと散華を見たかった!」
そういう方にはミュージアムショップで売っている
杉本健吉 東大寺散華」のポストカードセットをオススメします!!
(宣伝(笑)今回よく売れているそうです)


最後に。
三者三様の作品がこの展覧会では見られます。
贅沢な展覧会です。
それはそれぞれの奈良への向き合い方の現れだと感じました。



会期中、無料ゾーンでは散見美術館のある
「奈良きたまち」の紹介ブースがあります。
加えて、週末を中心に「きたまちマーケット」や
連携講座「女性たちの祈りの美のおはなし」が
開催されますので、ぜひお立ち寄り下さい。
そのまま街歩き→二月堂コースもありですよ♪


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奈良県立美術館
「祈りの美~清水公照平山郁夫杉本健吉…」
開催中~3/15(水) 9:00~17:00(入館16:30まで)
休館日 月曜 ただし、3/6と3/13は開館
http://www.pref.nara.jp/11842.htm