美術散華保存会&散華美術館 スタッフブログ

散華の情報、当会の活動、運営している散華美術館、奈良のこと等つづっていきます。

【御礼】3/19奈良国立博物館でのワークショップ無事終了しました!

3/19(土)に開催された「散華でポン!~聖林寺十一面観音をかいてみよう」の親子ワークショップは無事終了しました!ご参加くださったお子様と保護者の方々、本当にありがとうございました!

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ワークショップの様子

今回は聖林寺十一面観音像の写仏散華を書き下ろしで制作し、初めてお客様に写仏していただきました。参加者の方の反応を見ていると、いつもの写仏散華と変わらず楽しんでいただけたようです。

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全6種の写仏散華 見本展示

全6種の散華を用意したのですが、この3種がよく選ばれていました。

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十一面観音 右手

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十一面観音 左手

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十一面観音 化仏 菩薩面 ※牙上出面は誤り

「右手」「左手」の組み合わせで選ばれる方が特に女の子とお母さんの親子で多かったです。確かに、それはいい考えかも!

他の組み合わせでも、色味やテイストもなんとなく似ていたりして、親子のつながりを感じたワークショップでもありました。

* * *

 

今回はもう一つ初めてのことがあります。

それはワークショップの最後に参加者の方との”共有の時間”を設けたことです。

 

いつも参加者の方に声掛けするといろいろとお話してくださったり、講師の私だけが知っている話がたくさんありまして…それは勿体ないと思っていたんです。

せっかくなら、他の人に自分の作品を見てもらう、どういう考えで取り組んだのか?やってみてどうだったか?自分の作品を振り返ってもらう、言葉にすることで気づくこともあるのかな?と思い立ちやってみました。

 

呼びかけて手を挙げてくださる方はいなかったので、こちらからインタビュー形式で突撃させていただき、皆さん答えてくださったので有難かったです。

小学校低学年のお子様は恥ずかしくて言えない子もいましたが、お母さんが代弁してくれたり、私が「こんな作品です」と軽く紹介する場面もありました。一方、高学年になると、しっかり自分の思いを伝えてくれましたね♪ お子様も保護者の方も、自分なりに工夫した所を説明してくださったり、率直に「ここが難しかった」とか、「集中できた」と感想をいただきました。

 

個人的に感動して胸がいっぱいになったのは、5,6年前に同じ奈良国立博物館で写仏散華のワークショップに参加された親子の方が、またいらしていたこと!

当時は幼稚園の年長さんだったそうです。保護者の方へのインタビューでは当時の作品と比較してどうか?とお聞きしたら、「大胆さがアップしている」とのことでした。その時描いた散華も持ってきてくださっていて感激しました。

今回来てくださった方も思い出に残る、「またしたい」と思える体験になれば、こんなに嬉しいことはありません!

 

ワークショップ終了後、参加者の方が自然と他の方の作品を見に行ったり、話しかけたりされてる様子を見て、”共有の時間”を設けてよかったな~としみじみ思いました。

 

初めてのことも含めてうまくできるか不安でしたが、参加者の方のご協力もあり、楽しんで写仏していただけたと思います。

コロナ禍で難しい面もいろいろとありますが、機会がありましたらまたワークショップやりたいですね!!

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散華の展示

 

 

※日程延期※【イベント告知】2/20(日)→3/19(土)親子ワークショップ@奈良国立博物館

※2/3時点で日程が延期になり、下に記載している日程を延期後のものに変更しました※

 

おうちでぬくぬくしたくなる寒い日が続いていますが、

久しぶりの写仏散華のワークショップのお知らせです!

 

今回は奈良国立博物館での親子ワークショップ!

2/5(土)から始まる「国宝聖林寺十一面観音 三輪山信仰のみほとけ」展に関連するワークショップです。

edu.narahaku.go.jp

 

今回は展示の方とも関連してスペシャルな内容…

いつもは干支の守り本尊の仏さまを描いていただくのですが、

聖林寺十一面観音様のオリジナル写仏を描いていただきます。

今回が皆様に初お披露目にして、初写仏していただくので、いったいどんな仕上がりになるのか、私もとっても楽しみです!!

  ↓画像は色を付けた一例です

聖林寺十一面観音化仏

聖林寺十一面観音水瓶

聖林寺十一面観音オリジナル散華

このワークショップに参加すれば、展示を見る前でも見た後でも、より聖林寺十一面観音像について知ることができるはず♪

 

~概要~

開催日 2月20日(日) 3月19日(土)※当初より日程が延期されました

時間 1回目 10:00~11:30 2回目 14:00~15:30(受付は各回30分前から)

   ※事前に要申込 ※各回先着10組

場所 奈良国立博物館 地下回廊(ミュージアムショップの前あたりです)

対象 小学生以上のお子様とその保護者

費用 無料 ただし、特別展の観覧券・半券・奈良博プレミアムカード等の提示が必要

申込方法 奈良国立博物館イベントページの申込ボタンより

イベント | ならはく教育普及室

 

★講師を務めますヨシダから注意点、

というか「これがあったら良いよ~」のコーナー★

★絵手紙に使う顔彩(固形の水彩絵の具)を使います。水や筆を使うので汚れてもいい服装など準備をお願いします。(お手洗いは近くにありますが、ウェットティッシュがあれば便利かもしれません)

★道具は親子の方で共有して使っていただくものもあります。もしご自身で使われているもの(顔彩セット・面相筆等)、色鉛筆などお子様が使いやすい道具があれば持ち込みも大歓迎です!

 

皆様からのお申込み、お待ちしております!!

     

【2022年】新年のごあいさつ

明けましておめでとうございます。

どうぞ本年もよろしくお願いいたします。

 

昨年はどんな一年でしたか?引き続き我慢の多い一年だったように思います。

そしてまた何気ない日常の大切さを噛みしめながらの日々でした。

 

さて、細々とした営業の当会ですが、今年は近々、写仏散華のイベントが控えております。久々のイベントですので、今からとても楽しみにしています!

また詳細はこのブログ、FacebookTwitterでお知らせしますのでお楽しみに!

 

皆様の健康とご多幸をお祈りしまして、本年寅年!信貴山朝護孫子寺の散華(虎)を置いておきます。2月には秘仏毘沙門天像の御開帳や「信貴山寅まつり」も開催されますので、今年はぜひ訪れてみたいですね!

信貴山朝護孫子寺 - 信貴山真言宗 総本山 朝護孫子寺 公式サイト

 

朝護孫子寺散華

朝護孫子寺散華



 

愛知県の杉本美術館の思い出

久しぶりの投稿です。

先日、残念なニュースを知りました。

愛知県知多郡美浜町にある杉本美術館が10月末で閉館されるとのこと。

現在、100回目となる最後の企画展「絵に生きた画家 杉本健吉」展が開催中です。

www.asahi.com

↓展示の様子も映っています↓

10月末で閉館する「杉本美術館」で最後の企画展 杉本健吉の絵画等約100点展示 名古屋鉄道 | 東海テレビNEWS

 

ここは昭和の時代から東大寺の散華を多く手掛けた杉本健吉が生前に作品を寄贈して設けられた美術館です。現在は名鉄が運営しています。

 

こちらの美術館とはご縁がありまして、2015年の「ほとけ 杉本健吉が描くやすらぎの世界」展に当会の顧問の個人コレクションを貸出しました。あわせて、色とりどりの散華を使って来館イベントも実施してくださいました。

その際には私も館長とともに美術館にお邪魔させていただきました。休憩室から遠くに海とときどき走る名鉄の赤い車両がとても印象的でした。(名鉄の赤い車両は杉本氏のデザインなんですよ!)

また、作品の収蔵庫などバックヤードも丁寧にご案内いただき、杉本健吉氏ご存命の頃の貴重なお話をたくさん聞くことができました。本当にありがとうございました!

 

こちらはその当時のブログ記事です。もしよろしければのぞいてみてください。

【散華の展示販売もあります】愛知県・杉本美術館「杉本健吉が描くやすらぎの世界 ほとけ」展 - 美術散華保存会&散華美術館 スタッフブログ

【散華美術館協力】杉本美術館「ほとけ 杉本健吉が描くやすらぎの世界」鑑賞 - 美術散華保存会&散華美術館 スタッフブログ

【画像あり】杉本美術館で体験していただいた散華とお寺への奉納のご報告 - 美術散華保存会&散華美術館 スタッフブログ

 

コロナ禍もあり、どこの美術館も厳しい運営が続く中、閉館されるのは苦渋の決断だと思います。作品の保管などその後も適切に実施され、後世に伝えられる形になるように願っています。

www.meitetsu.co.jp

【展覧会】奈良国立博物館「聖徳太子と法隆寺」展と金峯山寺の金剛力士像

ご無沙汰しております。美術散華保存会です。

関西の周りの府県は緊急事態宣言下ということで、当会もひっそりと営業しております。

 

 

さて、久し振りに奈良国立博物館の特別展に行ってきました。


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聖徳太子法隆寺」展と聖徳太子1400年御遠忌を記念し、法隆寺の寺宝、普段は東京国立博物館で展示されているもの、そして聖徳太子にまつわる像など盛り沢山の内容で開催されています。(会期6/20(日)まで)

 

 

その中で、美術散華保存会的「絶対に見ておいてほしい!!」展示は、

191「金堂内陣旧壁画(第十八号)飛天図」

 

これは火災で焼失してしまった金堂の壁画の中で唯一焼けずに残った作品です。

(当時、堂内から持ち出されていて焼失を免れたとか)

大陸の雰囲気を残す、衣がたなびく優美な飛天、これは当会で開いている写仏教室でも練習していただく作品なのでとても思い入れがあります。

展示会場では照明の関係で全ての線がはっきり見える状態ではないのですが、飛鳥時代から残る壁画だと思うと胸が熱くなります。

 

 

あと個人的に好きなのは、聖徳太子の二歳像、孝養像(16歳)です。

 

二歳像は二歳にして「南無仏」と唱えた逸話を表現していて、上半身裸のまだむちっとした幼児体型の太子が真剣な表情で手を合わせています。可愛らしい姿です。

 

孝養像(16歳)は、父・用明天皇の病気平癒を祈願している姿といわれています。みずらを結い、柄がついた香炉を持っています。こちらは美少年といった感じでしょうか。

 

この他、ちゃんと成人した姿も展示の中にありました。仏像と同じように、脇侍にあたる像もあります。さまざまな逸話とともに聖徳太子が信仰の対象として広がっていっていたことを感じました。

 

 

余談です。

明日香村の橘寺も聖徳太子ゆかりのお寺ですが、こちらにも二歳像が祀られています。この展示の二歳像より可愛い感じですので、お参りに行かれては?

橘寺さんの散華は聖徳太子の二歳像、成人像を絵柄に採用していますので、そちらもぜひ♪

散華めぐり 〜橘寺〜 | 奈良観光・寺社めぐり・おみやげ

 

 

今回はなら仏像館に金峯山寺仁王門の金剛力士像が保存修復を終えて展示されているとのことで、見に行ってきました。

 

恥ずかしながら、金峯山寺さんにお参りに行って、仁王門を通った記憶がなく…当然、力士像の印象も全くありませんでした。

展示室の天井に届きそうなくらいの大きさでド迫力!動き出したら踏みつぶされそうです。南都仏師康成による仏像だそうです。写真撮影もOKだったので取らせていただきました。


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www.narahaku.go.jp

 

特別展は会期終了間近です!

ボリュームたっぷりの展示ですので、時間に余裕をもって行かれるのがいいと思います!前日予約が確実ですよ!

www.narahaku.go.jp

【ご挨拶】本年もお世話になりました

本年も散華美術館及び美術散華保存会をご愛顧いただき、誠にありがとうございました。

 

一年前、このような世の中になることを誰が予測したでしょうか?

散華美術館も臨時休館、様子を見ながら少しずつの再開というイレギュラーな対応となってしまい、全ての方の希望に添えられなかったかもしれません。

ただ今後も継続していくため、「細く長くできる範囲で」来年も運営していく所存です。

 

また今年は12月に奈良市内のホテルフジタ奈良さんが営業終了されました。

当会の散華ポストカードセットを早い時期から取り扱ってくださっていました。リピーターでお求めの方がいらしたようで、私も何度も納品など伺い、フロントの方には良くしていただきました。とても残念です。

ホテルフジタ奈良さん、本当にありがとうございました。

 

状況によっては引き続き、来館希望の方にご迷惑をお掛けするかもしれませんが、

また来年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

美術散華保存会
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【現存する最古の散華?】第72回正倉院展に行ってきました


お久しぶりです。美術散華保存会です。

臨時休業から、それを延長したりでしたが、ゆるゆると再開しています。

 

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再開一発目は時節柄、正倉院展の話題です。

 

今回は例年と異なり、日時指定の完全予約制となりました。例年なら10万人は来場者があった展覧会ですが、かなり数が絞られます。私も平日狙いで早めに予約しましたが、それでも夕方の時間帯しか残っておらず驚きました。今はもうチケットは完売だそうです。コロナ禍でも来られる方の意識の高さを感じます。

 

今回は例年よりものすごい目玉の展示があるかというと、率直に言うとそうでもありませんでした。ただ毎年見ている私からすると、「今年の正倉院展渋いな!通好みよね!」とも同時に感じました。今年の特集っぽくなっている武具・馬具、薬類…見た目は地味ですが興味深いです。

 

薬類は『種々薬帳』というものが残っており、聖武天皇の四十九日に光明皇后が薬物60種を献納したそうです。

奈良国立博物館正倉院展」の五色龍歯の解説で下のように解説がありました。光明皇后のエピソードはどれも愛に溢れているような気がします。

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献物帳の『種々薬帳(しゅじゅやくちょう)』には、堂内に安置して仏を供養するために献納するが、もし病に苦しむ人々がいれば薬を分け与えて良いとし、また彼らが亡くなった場合には花蔵世界(けぞうせかい)(盧舎那仏(るしゃなぶつ)=大仏の世界)に生まれ変わるよう願っている。光明皇后は以前より悲田院(ひでんいん)や施薬院(せやくいん)を創設するなど病人や孤児の救済に尽くしていたが、薬物の献納はその活動の一環に位置付けることができる。

おそらく海外から渡ってきたであろう漢方が塊で保存されていることに驚きました。当時の医療に使われたとのことですが、奈良時代の医療がどんなものだったか思いを巡らしながら拝見しました。

 

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保存会的には、37番「緑金箋(きょくきんせん)」が出ていたのが一番テンション上がりました!

 

これは奈良時代から伝わる蓮弁形の色紙で、法要の散華として使われていたと考えられているそうです。これは一応現存する最古の散華では?と思っています。(実際、一説として保存会でも人に伝えたりしています)

 

隣に38番「雑玉幡(ざつぎょくばん)」はビーズアクセサリーのような小さな玉をつないだもので、入れ物型に編んだものです。それがまた繊細で美しいものでした。

 

その解説には散華を入れる入れ物か?ともありました。華籠として使われていたとしたら、なんて素敵な!散華を撒いた後も美しい玉の入れ物がそこにあるのですから。

 

この2つは保存会的イチオシ宝物です!!

チケットは完売していますので、これから見る予定の方はぜひチェックしてみてください。

 

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行けないよという方は、奈良国立博物館公式Youtubeチャンネルで解説付きで見られるそうです。

こちらもご活用されてはいかがでしょう?(既に何個か動画上がってます)

 

 

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