美術散華保存会&散華美術館 スタッフブログ

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【現存する最古の散華?】第72回正倉院展に行ってきました


お久しぶりです。美術散華保存会です。

臨時休業から、それを延長したりでしたが、ゆるゆると再開しています。

 

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再開一発目は時節柄、正倉院展の話題です。

 

今回は例年と異なり、日時指定の完全予約制となりました。例年なら10万人は来場者があった展覧会ですが、かなり数が絞られます。私も平日狙いで早めに予約しましたが、それでも夕方の時間帯しか残っておらず驚きました。今はもうチケットは完売だそうです。コロナ禍でも来られる方の意識の高さを感じます。

 

今回は例年よりものすごい目玉の展示があるかというと、率直に言うとそうでもありませんでした。ただ毎年見ている私からすると、「今年の正倉院展渋いな!通好みよね!」とも同時に感じました。今年の特集っぽくなっている武具・馬具、薬類…見た目は地味ですが興味深いです。

 

薬類は『種々薬帳』というものが残っており、聖武天皇の四十九日に光明皇后が薬物60種を献納したそうです。

奈良国立博物館正倉院展」の五色龍歯の解説で下のように解説がありました。光明皇后のエピソードはどれも愛に溢れているような気がします。

www.narahaku.go.jp

献物帳の『種々薬帳(しゅじゅやくちょう)』には、堂内に安置して仏を供養するために献納するが、もし病に苦しむ人々がいれば薬を分け与えて良いとし、また彼らが亡くなった場合には花蔵世界(けぞうせかい)(盧舎那仏(るしゃなぶつ)=大仏の世界)に生まれ変わるよう願っている。光明皇后は以前より悲田院(ひでんいん)や施薬院(せやくいん)を創設するなど病人や孤児の救済に尽くしていたが、薬物の献納はその活動の一環に位置付けることができる。

おそらく海外から渡ってきたであろう漢方が塊で保存されていることに驚きました。当時の医療に使われたとのことですが、奈良時代の医療がどんなものだったか思いを巡らしながら拝見しました。

 

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保存会的には、37番「緑金箋(きょくきんせん)」が出ていたのが一番テンション上がりました!

 

これは奈良時代から伝わる蓮弁形の色紙で、法要の散華として使われていたと考えられているそうです。これは一応現存する最古の散華では?と思っています。(実際、一説として保存会でも人に伝えたりしています)

 

隣に38番「雑玉幡(ざつぎょくばん)」はビーズアクセサリーのような小さな玉をつないだもので、入れ物型に編んだものです。それがまた繊細で美しいものでした。

 

その解説には散華を入れる入れ物か?ともありました。華籠として使われていたとしたら、なんて素敵な!散華を撒いた後も美しい玉の入れ物がそこにあるのですから。

 

この2つは保存会的イチオシ宝物です!!

チケットは完売していますので、これから見る予定の方はぜひチェックしてみてください。

 

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行けないよという方は、奈良国立博物館公式Youtubeチャンネルで解説付きで見られるそうです。

こちらもご活用されてはいかがでしょう?(既に何個か動画上がってます)

 

 

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