奈良県立美術館 館蔵品展「小袖~近世装飾の華~」
私の趣味の1つに「博物館巡り」があります。
これは学生のときの専門が、美術史だったこともあって、
今でも習慣的に近場だけでなく、京都・大阪・東京など
気になった展覧会は時間とお金が許す限り、見に行っています。
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今回は近場で、県美の「小袖」展に行ってきました。
去年の大阪市美の「小袖」展も行ったのですが、
知らないことが結構あって、勉強になりました。
きものも時代の変化によってデザインは刻一刻と変化していることが
実感できました。
これは現代の洋服でも言えることですよね。
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「地無し」といわれた豪華な慶長小袖から、寛文小袖、元禄期と洗練されていきます。
この頃は、肉筆美人画が良く描かれていて、
そこにも流行の柄が如実にわかったりするので面白いですよ。
さらに、友禅染が開発されたことによって、多彩で絵画的な文様となり、
デザインの幅が広がったそうです。
光琳文様の小袖もありました!
尾形光琳とは、江戸中期の絵師で、実家は呉服屋です。
光琳デザインの流行が西川祐信(すけのぶ)の絵本からも示されていました。
あとは文字を刺繍で入れ込んだり。
これは現代人の私からするとちょっと奇抜ですが、当時は粋だったのでしょう。
帯も時代が下るにつれ、太くなっていき、
それにあわせて着物の柄も上下で分断するようなものが登場します。
また、江戸後期になり贅沢が粛正されるようになると、
裾や褄部分に文様を施した、さりげないものも。
足裁きでちらりと見える裾模様はなかなかオシャレですね~。
題材は当時流行の名所などから取られています。
一方、武家や公家の服飾は相変わらず豪華です。
武家だと「御所解文様」といって和歌や能から取っているものも多いです。
このように知性をにおわせるというのは上層の感じがします。
最後に上方での「被衣(かづき)」の一角が。
「被衣」とは、身分の高い女性が顔をあらわにしないためにかぶった衣で、
時代が下ると、一般女性もやっていたようです。
室町の絵巻や近世の風俗図屏風をみているとこの「被衣」をかぶった女性が
寺社の参道などによく描かれています。
着物を頭からかぶって口元を隠している姿です。
「被衣」はその仕草を表す単語だと思っていたのですが、
それ専用の着物だとは知りませんでした。
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行ったときも女性が多く来られてました。
女性でなくとも楽しめますが、女性にはオススメです
奈良県立美術館 館蔵品展「小袖~近世装飾の華~」
3月21日まで 9:00-17:00 21日を除いて月曜休館
入館料 一般400円 大・高生250円 中・小生150円
チラシの下についている割引券を持っていくと100円引きになります