美術散華保存会&散華美術館 スタッフブログ

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【展覧会巡り】奈良県立万葉文化館 「広重―雨、雪、夜 風景版画の魅力をひもとく―」

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先日の大阪北部地震では、奈良でも大きな揺れを感じました。その後も余震があったり不安な日々が続きました。
震源地近くの方はなおのことでしょう。

この度の地震で亡くなられた方のご冥福をお祈りすると共に、被害にあわれた方に一日も早く普段の生活が戻ることを願ってやみません。

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さて先日、万葉文化館で開催中の「広重」展に行ってきました。

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「広重」とは?江戸時代の浮世絵師、歌川広重(1797-1858)のことです。
有名なところでは「東海道五拾三次之内」、その他数々の風景や名所を描いています。
昨年は生誕220年、今年は広重の没後160年という節目の年ということで、全国で作品を見られる機会が多くなっているんですよ。


今回の展示の見所は、「東海道五拾三次之内」(保永堂版)全部出し!!

なかなかこの五十三次、枚数でいうと全部で55枚の作品を一挙に見られる機会はありません!
熱が入るのも、実は自分の地元が東海道の宿場町の一つでして…
「奈良で東海道五十三次が見られるなんて!これは見ずにはおれん!」となったわけです。

資料に東海道中山道の地図があったので、それを片手に1枚ずつかみしめて見させていただきました。
それぞれの土地の特徴をとらえ、時にデフォルメを加えながら、一枚に凝縮しているところに広重の凄さを感じました。

タイトルにも入っている「雨、雪、夜」の表現は特に技術やデザイン性を見ることができました。
雨の真っ直ぐな細い線、交差する線、線の間隔、これで雨の表情はずいぶん変化します。
また風が強く吹いている情景も人や小物の動きを追っていくとわかるように描かれています。

展示には「保永堂版」だけでなく他にもいろんなパターン(版元がそれぞれ違います)で製作されたものがありました。
狂歌入りだったり、人物があったり、江戸名所や伊勢名所などバラエティ豊か。
歌川広重国芳・国貞の合作も見ものです。

そんなことで大量の作品が余すことなく展示されているので、休憩しながら、
東海道を旅する広重を追体験できます。


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奈良県立万葉文化館 
「広重―雨、雪、夜 風景版画の魅力をひもとく―」
会期:7月1日(日)まで
観 覧 料:一般 1,000円、大学・高校生 500円、小中学生 300円

学芸員によるギャラリートーク(事前申込不要・要観覧券)
・6月23日(土)午後3時45分~4時15分
・6月30日(土)午後1時30分~2時

詳細はHPへ→ http://www.manyo.jp/event/detail.html?id=220